コラム

2020年の住宅における省エネ仕様

2020年の住宅における省エネ仕様の義務化

1.これまでの考え方—スマートハウス

・防災対策を住宅へ

2011年3月11日、東日本大震災で発生した福島第一原子力発電所事故による計画停電や電力不足をきっかけに「スマートハウス」への注目が高まりました。

スマートハウスの意義は震災をきっかけにそれまでのスマートハウスは

「CO2排出量削減で地球環境保護に貢献」だけでなく、

「災害時のエネルギー自給自足による備え」も加わり、一段と切実さを増しました。

 

スマートハウスとは、エネルギーを節約する

(省エネ=高断熱・高気密+太陽光の利用+自然換気など)

つくる(創エネ=太陽光発電+燃料電池+太陽光温水器など)・ためる(蓄エネ=蓄電池)を持った住宅であり、

省エネ、創エネ、蓄エネを自動制御する「HEMS(住宅用エネルギー管理システム)」によって、

商用電源やガスなどの使用量の削減、電力ピーク時間の変動、といった最適制御が可能になります。

これまで弊社は住宅の基本性能として、

断熱等級4、耐震等級2(建築基準法=等級1、最高等級3)以上で設計してきました。

創エネ、畜エネに関しては予算の都合もあり、創エネ(太陽光発電)は約半分の棟数で計画し、

畜エネに関しては特に高価なものになり、計画上話題には上るのですが、実施までには至っていません。

 

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図:HEMS概念図 パナソニックホームページより引用

 

 

□大震災により停止したライフラインの復旧期間

電気         水道        都市ガス

東日本大震災※1 3日で約80%   約3週間で約80%  約1ヶ月で約80%

8日で約94%     約1ヶ月で約94%  約2ヶ月で約90%

 


阪神淡路大震災※2 6日で倒壊家屋等を  42日で仮復旧完了  6日で倒壊家屋等を

 

除き復旧完了      91日で全戸通水完了   除き復旧完了

 


東京湾北部大震災   概ね1週間程度    概ね1ヶ月以上    概ね1〜2ヶ月程度

 

 


※1東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会報告書参考図表集(平成23年9月):中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」

 

※2阪神・淡路大震災下水道施設災害の記録(平成8年3月):兵庫県土木部下水道課

※3首都直下地震等による東京の被害想定報告書(平成24年4月):東京都防災会議

2.これからの省エネ住宅:2020年の義務化、そしてZEH

2020年には一般の住宅に対する義務化も実施する方向で検討が進められています。

2020年に予定される省エネ基準の義務化において、

すべての新築住宅がクリアしなければならないのが「断熱等級4」であるので、

現在でも弊社の考え方はクリアできています。2020年にはそれにプラスして、

省エネ型の設備機器を搭載していることが求められます。

 

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図:国土交通省パンフレットより引用

 

3.ZEH

ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の頭文字をとった略称で、 

ネルギー消費量が正味ゼロの住宅のことをいいます。

「ゼロエネルギー住宅」や「ゼッチ」と呼ばれることもありますが、同じ意味となります。

 

「ゼロエネルギー住宅」といいましたが、

人間が生活している以上、住宅で消費するエネルギーが完全にゼロになるということはありません。

ここでいう「ゼロ」とは、「完全にゼロ」ということではなく、

「正味ゼロ」つまり「プラスマイナスゼロ」という意味です。

 

省エネをしっかり行うことでエネルギー消費量をできるだけ少なくした上で、

それでも必要となるエネルギー消費量と同じ量のエネルギーを自ら生み出すことができる住宅を、ZEHと呼びます。

具体的には、壁の断熱や、断熱性能の高い窓を導入することでしっかりと断熱を施し、

エネルギー消費量を基準値以下に抑えた住宅にしなければいけません。

 

エアコンや給湯器など、エネルギーをたくさん消費する住宅設備の省エネ性能を高める必要があります。

その上で、太陽光発電システムやエネファームといった、

創エネ設備を設置し、エネルギー消費量以上のエネルギーを生み出す必要があります。

つまり、これからは建物だけではなく、

住宅設備=冷暖房機器、給湯器、換気設備、照明設備、太陽光発電などの性能が問われることになります。

 

2020年の義務化ではありますが、

あと2年、あっという間のことです。

現在計画している住宅でもこの考えを考慮して計画をしています。

村上治彦:CASBEE戸建評価員 ※CASBEE:建築物総合環境性能評価システム

集まって住むということ

集まって住む

 

「集まって住むということ」

 

集まって住む、簡単に言うと「集合住宅」です。
集合住宅は住宅で街をつくることと考えています。

集まり方ですが、上に積まれるか(最もよくある形)、
横に並べていくか(テラスハウス)の2種類に分かれてきます。
私たちは二つの計画案でそれぞれの可能性を計画しました。

 

集合住宅をつくろときは、
「集まって住む」為の工夫、
つまり、一番の特徴である共有する場所、
それをどう取り入れていくかが重要な問題です。

 

 

コミュニティをつくる

 

縦に積んでいく場合も、横に並んでいく場合も、
集まることによって得られるものは、
共有に使えることのできる空間を持つというものです。

棟の中に取り入れていく、
もう少し大きな単位で、
外部に設けていくとう二通りの方法を考えられます。

 

 

 

縦に積んだ時に私たちが提案したのは、
集合を分棟型にして、
それぞれの棟の隙間を「道」「広場」としてみたて、
人々をつなぐことでした。

 

 

外部空間に変化を設け、広場1、広場2、広場3といくつかの広場を設けます。
それによって、その広場に接する住戸の人々は、その広場を
自分たちの庭という意識を持つと考えています。
そこで住棟のコミュニティが生まれ、
広場がつながることにより、住棟のコミュニティが連続して、
1つの街を形成するという計画です。

 

 

 

棟の間隔によって道をつくるときは、
広場の広さの感覚の違いを明確にするために、
あえて道幅を絞り、格子状ではなく、
突き当たりのある、シーンの展開する道をつくり、
そして、広場に至るように
棟で一つの塊を意識できるようにしています。

 

 

単純に住棟を格子状に並べるのではなく、
直接住棟にアプローチできる道、違う通りを使うアプローチ、
ショートカットのアプローチなど様々な街路を感じながら、
我が家へのアプローチ景観が、様々に展開されて行きます。
シーンの展開する街路によって、
住民たちの外部への集まりができると考えています。

 

 

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横に並べた場合
(この計画は高齢者のためのテラスハウス)
は「道」を最初に設け、、
そこを共有の場所として計画しました。
道に対して、住宅の中のパブリックな場所を設け、
道行く人との交流を高め、
道の反対側にプライベートな空間を配しました。

 

 

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そこでは、内部空間を明確に、「公」と「私」に分け、
「公」を道に面させることで、コミュニケーションがうまれ、
街としての雰囲気をつくりだすことを計画しています。
道路の反対側にある専用庭では、
「私」のための外部を立体的に設け設け、
静けさと、落ち着きを感じられるよう計画しています。

 

 

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どちらの計画も、共用部としての、
外部のあり方を中心に計画したものです。

 

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子ども居場所〜子どもの育ちを見守る住宅

子どもの居場所

 

「修行時代」


以前勤務していた設計事務所で、幼稚園、中学校、高校、大学、専門学校と、
いくつもの子ども達の教育の場の設計を担当しました。
そこは、集団で教育を行う場であるが、
そのための場所を設けるだけではありませんでした。
集団の場所だけではなく、
一人の、あるいは少人数の場所を設けることが
とても大切であることを教わりました。
教室だけでなく、
子ども達一人ひとりのその時の気持ちでいることのできる場所、
その場所を作ることの大切さを教わりました。

 

 

「教員時代」


そして、教員として専門学校、高校で教えていました。
そこで子ども達にとっての大切な場所を見て、
実感することができました。

 

 

「子どもの居場所をつくる」


大切なことは、子どもが集団から離れた時にいることのできる居場所をつくること、
子ども部屋だけだなく、それ以外に居場所をつくることだと考えています。

 

子どもに働きかける場所(アフォーダンス)をつくること、
そこにいることで、子ども自身が何かを感じられる、
思いを巡らせることができる場所を作ることだと思っています。

 

 

「アフォダンス」

アフォーダンスとは、環境が行為を直接引き出そうと提供 (アフォード) している機能のことです。
例えば、木の切り株を見て腰を掛ける(=切り株が椅子の機能を持つ)、
高さ30cmのところに設けられた板に物を置く(板が飾棚の機能を持つ)、
本、ノートなどを置く(板が机の機能を持つ)、
座わる(板が椅子の機能を持つ)などなど。

 

 

現在、小さなお子さんのいるご家族の家を多く設計していますが、
思うこと、考えることは同じです。
家族という集団と一人の場所(子ども部屋)をつくるだけでなく、
その間に、家族との距離をとりながらいることのできる場所、
家族の気配を感じながら、少しずつその気配が違っている場所を設けるようにしています。

 

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大切にしていることは、
その場所の持っているスケール(子どもの身体の大きさに合っている=寄り添いやすい)、
場所の子どもたちへの働きかけ、
あるいは、子どもにとっての明確な機能(専用のお片づけ場所など)、。

 

 

 

例えば、階段の段板、階段下、ちょっとした凹み、家の中のバルコニーなどがそうです。
ただ、いるところがあるだけでなく、そこに子供に働きかける何かが必要だと思っています。

 

 

 

例えば、そこに小さな板をつくれば、それが本棚になり、机になり、ショーケースになり、
子ども達の発想は広がっていき、自分の居場所ができあがります。
先ほど書いたアフォーダンスとは、そういうことです。

 

 

 

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ものが子どもたちに働きかけ、
子どもは自分の感性でそれを自分なりの解釈で受け取る。
そして、行動に移していく。
それがとても大切だと考え設計しています。
ほんのちょっとしたことですが、子どもの成長に対して、
とても豊かに関わっていくと思っています。
子どもはなんでもおもちゃにしてしまうように。

 

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暮らしの道具〜ハタキの効用〜

暮らしの道具〜ハタキの効用〜

 

今回は家で使う道具について。みなさんは「ハタキ」を使ったことがありますか?

 

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今の時代、家庭で使う掃除道具でも色々な種類がでています。

 

ママ向けサイトのアンケートでは、いま欲しい家電ランキングでは

1位から3位までがすべて掃除機(ダイソン、レイコップ、ルンバ)とのこと。

http://www.babycome.ne.jp/research/marketing/ranking/0022/

 

いずれの掃除機もスタイリッシュになり、

「そうじ道具」と呼ぶには気がひけるお値段でもありますが、

その性能のコマーシャルを見ると、思わず欲しい〜となってしまいますよね。

 

そんな時代に「ハタキも便利ですよ」なんて言うと、懐古主義かしら、

と思われるかもしれませんが、本当に便利なんですヨ^^。

(ただし、窓が開けられて換気ができる環境において。)

 

 

ハタキ、のイメージは、もしかしたら

サザエさんのフネさんのような良妻賢母のイメージでしょうか。

そんな几帳面にそうじしてられないなぁ、なんて。

 

でもね。

実は、ハタキって換気によっておこる風の流れを味方にした、

とってもラクちんな道具なんです。

 

例えば、静電気やふわふわの繊維でほこりをとるハンディモップと比べてみましょう。

ハンディモップは、基本的にきれいにしたいところは、

すべて吸着面でふれないとほこりを取りきれません。

繊維がさわらないところは、そのまま残ってしまいますが、

そういう使い方をする道具です。

 

ハタキは、というと、棒の先にひらひらと布がついていますが、

あの布でほこりを絡め取るのではありません。

布をパタパタとして、風を起こすことで「風にほこりを巻き上げさせる」道具です。

なので、ハンディモップとは汚れを落とす原理が違うわけです。

 

障子などの細かい組子や照明などのそうじではそのラクちんさがとてもよくわかりますが、

棚の上や、窓枠の上などでも、数日の間にたまるホコリぐらいは、充分きれいになります。

 

そして、風で巻き上げたホコリは、

窓を開けた部屋の空気の流れにのって、部屋の外に出ていく。

もちろん、大きなワタぼこりは床に落ちますが、空気中に舞うホコリの様子を観察してみると、

ゆっくりと窓の外にでていく様子も見ることができます。

自然の原理を利用した、実はとてもおおらかなそうじ道具なのです。

 

 

「暮らしの手帖」を創刊した、

花森安治(朝ドラ「とと姉ちゃん」で唐沢寿明が演じる人物のモデルとなった人)の言葉に

次のような言葉があります。

 

「道具とは、素手でやるよりメリットのあるもののことだ」

 

手でやった方が早いじゃん!と突っ込みたくなる道具もたまに見かけますが、

ハタキは、その使い方のコツをつかむと、間違いなくメリットいっぱいの「暮らしの道具」です^^。

そうそう、使っていて楽しいのもおススメのポイント。

棒をもつと、ついつい振りたくなっちゃうのは子どもだけでない、人間の性かも(笑)。

 

 

下の写真は、日本家屋の建具やランマで使われる組子です(美しい!)

この組子のそうじができるのは、ハタキ以外にないだろうな、そう思います(笑)

 

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ランドセルの居場所

ランドセルの居場所

 

いきなりですが、、、ランドセルの片づけに困っているご家庭、結構多いようです(笑)

(わが家もご多分に漏れず・・)

 

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本来は子ども部屋の学習机や子どものロッカーなど、ランドセル置き場があるはずなのに、

いつもリビングのど真ん中にフタがどーんと開いたまま。

お母さんが毎日小言を言って子ども部屋へ片づけさせる。

なんで変わらないのでしょ〜、と嘆く声を少なからず聞いてきました。

 

それはね、ズバリめんどくさいからです。

 

子どもがランドセルを下ろす、というのは、

大人が大事なプレゼンを無事に終えて、「あぁ〜!」と伸びをするようなもの。

…らしい(笑)

 

そんな解放感のときに、たとえ子ども部屋が同じ階にあったとしても、

「まずは定位置において」というのは、

「大事な会議が終わって、机に戻ったらすぐ議事録仕上げてね」というようなもの。

…らしい(笑)

 

もちろん、それが当たり前のこととしてできる人もいるけれど、

出来ないには出来ないという(本人なりの)理由があるようです。

 

まずは帰ってきたらお母さんと話したいし、リビングに直行したいというのが

子どもの正直な、そしてとってもかわいいホンネだと思います。

 

だったら、まずはリビングにランドセルの仮置き場をつくるのもよいかもしれません。

リビング学習が多くなっていますから、実際にそのようにされているご家庭も多いでしょうし、

市販の家具でも、リビングに置くためのランドセル収納も色々とでています。

 

片づけがうまくいかないモノがあったとしたら、一連の動作の中で

なんらかの「めんどうくさいポイント」があるはずですので、

(今回のランドセルの場合は、しまう場所が遠い)

その原因をさぐることで、解決策が見つかるかもしれません。

 

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家づくりの際には、こんな片づけのお悩みもぜひ設計者にぶつけてみてくださいね。

私たちは、暮らす人の行動から、どんな人と物の動線がよいのか、それを考えますので。

毎日の行動のクセなどは、その人らしい住まいをつくる、絶好の「種」なんですよ^^。

 

村上建築設計室では、「子どものコーナーづくり」「子ども部屋リフォーム」設計も承っています。

お気軽にお問い合わせくださいね。

 

 

※ランドセルの写真は娘に協力してもらった演出・・・ではなく、低学年のころの日常でした(笑)。

家づくりのタイミングとスケジュール

家づくりのタイミングとスケジュール

 

今日は家づくりのタイミングとスケジュールについてです。

今年は子どもの通う小学校のPTAで、登校班の指導係をやっています。

年々子どもが少なくなってきた地域で、例年同じ登校班の1年生はせいぜい1人か2人です。

それが、今年はは9人も新一年生が入学したので、ビックリ。

 

思えば、2、3年前に近所の地主さんが世代交代し、あちこちで昭和世代のゆったりとした住宅が取り壊され、

ひとつの敷地が分けられて、2、3棟の建売住宅が建っていたのでした。(オー〇ンハウスさんとか)

その住宅をご購入されたのが、一年生の親御さんたちということなのでしょうね。

 

家づくりの多くは、家族の暮らしが変わる「節目」をきっかけに行われます。

子育て世代だと、やはり「小学校入学」がいちばん大きい要因かもしれません。

どの地域に住むかで、学区が決まりますから、なるべく小学校入学までに家を建て、

入学後に引っ越し(転校)しなくて済むように・・・との親心ですね。

 

では、例えば「小学校入学」前の春休みに引っ越しをしたい、というとき、

家づくりはいつスタートするとよいのでしょう。

 

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これは、依頼先(ハウスメーカー、工務店、設計事務所)によっても大きく変わりますが、

設計事務所の場合、少なくとも設計開始からお引き渡しまで1年〜1年半は見ておくと良いと思います。

大まかに、設計半年、施工半年。 (それでも、順調に進んだ場合でしょう)

 

 

家族で暮らしの要望がまとまっていない場合には、

基本プランをまとめていく打ち合わせに、より多くの時間が必要となってきます。

 

さらに、設計をスタートするには、敷地が決まっていないと始まりませんが、

この「敷地さがし」がなかなか難しい。

 

環境と、大きさと、ご予算と。

その塩梅が難しいですし、

果たしてこの土地が最良なのか、正解というものが無いですので、建て主さんは

「次に出てきたの土地の方がよかったりして・・・」という葛藤とも戦わねばなりません(笑)。

(そんなときには、ぜひ土地探しから建築家を利用していただきたいのですが・・・それはまた次回に。)

 

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焦らずにじっくりと土地探しを・・と思うと、やはり半年から1年(長ければ数年)、

土地探しに時間を費やすことになります。

 

さらに、その前段階として、家づくりにかける総予算を検討しておき、

どのくらいのコストを敷地にかけるか、ということも、把握しておく必要があります。

いくら気に入った土地でも、家づくり予算の多くをかけてしまって、建物では多くの希望をあきらめる羽目に・・・

となってしまうのは、なんとしても避けたいところ。(設計も大変苦労します)

 

ですから、土地探しの方は、2〜3年前には家づくりの情報収集をはじめて、資金計画などを行っておく、

というのが、慌てずに家づくりを進めていくスタート時期になるのでは、と思います。

 

そして、要望をまとめていくヒントの情報収集はさらに早ければ早いほどよいですよ。

好きなイメージ写真を集めたり、今の住まいのいいところや不便なところを意識して暮らしてみたり。

 

ということで。

まだまだ時間があるぞ!と思っているみなさん。

実は、家づくりスタートは今がピッタリ!という場合もありますから、

ちょっと時間的なスケジュールをおさえてみてくださいね。

 

※おいおい、うちの事務所はもっとスピーディにやってるぜ!

という同業の方がいらしたら、すみません<m(__)m> ※

家族のHAPPYを願う畳コーナー

家族のHAPPYを願う畳コーナー

 

おひなさまや端午の節句もそうですが、年間の歳時記は「家族の健康や幸せを願うもの」が多く、

なるべく暮らしに取り入れたいなぁと思っています。

 

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お客様にも同じように考えられる方が多くなってきたように思いますが、

その舞台をどこにしようか悩まれる方も多いですね。

さすがに、7段飾りのようなお雛様は減っていますが、

3段飾りといえども、結構なスペースが必要です。

 

LDKスペースにゴロンとできる畳コーナーを設けることが多いのですが(ご要望も多いです)、

融通無碍な使い方ができる楽しいスペースでもあります。

日常はくつろぎだけでなく、洗濯物をたたんだりの家事スペースで活躍しますが、

ハレの日には、室礼を整えるとピリッとした空間にもなります。

 

畳の場のつくり方も様々です。

例えばこちらは、リビング(手前)床とフラットに、一体的な空間として、

壁や天井もリビングから続いています。

冬にこたつを置くため、4.5畳を確保。

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こちらは25cmの小上がりとしています。

小さな子が昼寝をしたり、縁にちょこんと腰かけるようなイメージで、3畳弱。

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こちらは階段周りの吹抜けの下の伸びやかな畳空間。

手前のカウンターで書斎も兼ねて2.5畳。

段差は18cmです(ご高齢のかたが使用します)。

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こちらは全体で6畳の空間に、置き畳タイプのコーナー。

床の間をイメージした家具を設えています。

お正月などハレの日はこちらでおせちを食べたりするそうですよ^^。

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いろいろなつくり方、使い方ができる畳コーナーは、日常にもハレの日にも

家族のHAPPYが感じられる場所。

今後も積極的にご提案したい場所です♪

 

そうそう、お雛さまと言えば、、、その収納場所もきちんと計画せねばなりません。

現在進行中の収納計画でも、あれこれお施主さんと相談していますが、

そんな打ち合わせも楽しいです。

あなたのHAPPYな暮らしって?

あなたのHAPPYな暮らしって?

 

今日は、「家づくりはコミュニケーションが9割」(←どっかで聞いたようなフレーズ・・笑)

ということで、設計者と建て主さんとのあいだでの要望の共有についてです。

 

家づくりをする際、依頼先はどこであれ、まず初めに設計者に要望を伝えることから始まります。

場合によっては設計者との間に営業マンがはいることもあります。

「○○畳くらいのリビングダイニング」

「日当たりと風通しが良くて・・・」

「家族が集まる場所にしたい」

など、それぞれの思いがでてくるわけですが、

実は、この要望の伝え方によっては全く自分たちの意図が伝わらない、

あるいは、できあがったプランを見てもピンと来ないということになりかねません。

 

中には「あまり細かい要望を言ってはいけないのではないか?」と遠慮をしている建て主さんもいるようです。

「細かい要望=わがまま」と思ってしまっているパタンです。

これでは、家づくりが楽しくないですし、間違いなく後悔します。

 

逆に、最初のヒアリングでものすごーく具体的なご要望書をまとめている建て主さんもいます。

各部屋の大きさから、設備のスペック、断熱仕様、仕上げ材についてまで、

「仕様書」のようにまとめられています。

 

そうすると、このご家族にとっていい住まいとはなんだろう?ということが見えにくくなってしまいます。

お施主さん自身も、どれが大切なのかわからなくなってしまっていて混乱していることも多い。

 

私たちの場合、まずはじめに知りたいことは、

「ご家族にとって、幸せな時間はどんなときだろう?」

「これまでにどんな暮らしの記憶、空間の記憶があったのだろう?」 ということです。

 

そこで、これらを質問したりして暮らし設計のヒントをもらうわけですが、

考えたり書いたりすることが好きな方には、

あなたにとって、「家とは?」「暮らしとは?」というちょっと漠然としたテーマで暮らしマップを書いてもらったりもします。

 

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すると、好きなことだったり、いま困っていることだったり、これからの希望などのキーワードが出てきます。

書くということで、あらためて自分の暮らしを見つめることになるプロセスは、

お施主さんにとってもよい機会となるようです。

 

 

たとえば、福島での住宅ではこんなことがありました。

住宅展示場めぐりが好きで、私たちと出会う前にすでにあちこちのメーカーさんと話をしていたAさんご夫婦。

最初にお話する前に、こまかく具体的な要望をまとめたものを送ってくれていました。

そのひとつには 「土間が欲しい(観葉植物をおく)」という一文があり、そのほかにも、

とても事細かな要望がならんでいましたので、「家とは?」「暮らしとは?」のマップを書いてもらったのです。

 

するとご主人の「家」の先には「近隣関係」という言葉が続きました。

理由を尋ねると、

「単身赴任で疎遠になってしまったご近所さんと、昔みたいに行ったり来たり、宴会もできたら」

「そのときに、玄関からだと遠慮しちゃうから、昔の縁側みたいのがあるといいよね」

という言葉が出たのでした。

 

土間は、観葉植物も置くかもしれないけれど、ご近所さんとの交流の場でもあり、

そこでのコミュニケーションを今後の暮らしの楽しみともされているということ。

それをお互いに確認できたことが、Aさんの家づくりのキモだったように思います。

(土間空間の優先度が一気に 上位に躍り出たのです、笑)

 

そこで、私たち(設計者とお施主さん)はこんな暮らしのシーンをイメージし、

近所とのコミュニティ

 

このような空間↓へと具現化したのす。

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「伝わる要望書」とは、活き活きとした「暮らしのイメージ」が見えてくる要望書です。

「リビング○○畳」「日当たりの良い子ども室」「キッチンは対面式」という、ハードに関する情報よりも、

その場所で何をしたいか、誰といたいか、どんな風景を見たいか、

という、ソフトに関する情報が満載の要望書です。

 

そんな活き活きとしたごご要望をヒアリングでお聞きできれば

設計者のモチベーションもより一層、ぐーんとアップしてしまうんです(笑)。

 

いかに、自分たちの「HAPPY」を伝えることができるか、それが家づくり成功のカギ。

つまり、コミュニケーションが9割!ということです^^。

子どもの暮らしの中の「からだの動き」

子どもの暮らしの中での「からだの動き」

 

今日は、暮らしの中の「からだの動き」についてです。

戦後の暮らしは、家電製品の発達とともに大きく変化してきました。

それこそ、冷蔵庫・掃除機・洗濯機・炊飯器にはじまり、いまでは食洗機や、お掃除ロボット、などなど。

そのことで、精神的にも身体的にも、ラクになっていることは、本当にありがたい限りですが、

身体の使い方は、昔とはずいぶん違ったものになっていると思います。

 

 

同時に、細かいところですが、住まいに使われる金物もずいぶん変わってきました。

とくに、高齢期の住まいでの配慮「バリアフリー」や、誰もが使いやすい配慮「ユニバーサルデザイン」が

一般家庭でも実践されるようになってから、たとえば、水道の蛇口水栓、ドアノブのような

「手首のひねり動作と必要とする金物」が住まいから少なくなってきます。

 

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蛇口は水栓レバーに、ドアノブはレバーハンドルに変わってきています。

さらには、カギの開け閉めも、最近はカードキーの割合も増えているようで。

 

以前、子どもの発達に関わる方とお話をしたのですが、

給食の配膳などで、しゃもじやお玉をうまく使えない子どもが少なからずいるのだとか。

お皿やお茶碗に「よそう」という動きには、手首を上手に返す動きが必要です。

普段の生活でその動きが少なくなったために、うまくできない。

だから、手首を動かすような運動を意識的に取り入れているとのことでした。

 

なるほど。

思えば、エアコンの前の扇風機の前の「うちわ」の時代ならば、

おそらく、夏は毎日、手首をぐるんぐるんひねりながら涼を得ていたでしょうから(笑)、

毎日の生活で体の動きが鍛えられていたことは、よくわかります。

 

逆を言えば、「ごはんをよそう」というようなお手伝いを通しても、

子どものからだの動きの発達に、働きかけることができるということですね。

ということで、我が子にはじゃんじゃんお手伝いをしてもらおう(笑)!という結論です^m^

 

 

追伸。

コラム用に写真を撮ろうと思っても、蛇口もドアノブも身近にみつからず(驚)

フリー写真を拝借しました。感謝!

蛇口写真:https://pixabay.com/

ドアノブ写真:http://01.gatag.net/0011321-free-photo/

大人になるっていうこと。

大人になるっていうこと。

 

村上建築設計室では、とちぎけんでの子ども家事塾を応援しています。

 

子ども家事塾を通して、子どもの自立を応援しているのですが、

親子向けのワークショップで、「大人になるってどういうこと?」ということを考えたことがありました。

自分が「大人だと思うときは?」「子どもだと思うときは?」という質問に、

思いつくことを上げていくのですが、その答えが大人も子どもも面白かったのを覚えています。

 

すきなおやつを妹に譲ってあげたとき、とか、

(お母さんに)言われなくても部屋の片づけをやったとき、とか、

コーヒーを飲めたとき(に、大人だとおもった) という子どもの意見は本当にかわいい。

思わずニンマリしてしまいます。

 

逆に大人が思う、子どもな自分は、

子どもが帰ってくる前に、アイスをこっそり食べた、とか、

子どもとのゲームで本気になってしまった、とか、

二度寝の誘惑に負けて遅刻ギリギリとか、、あ〜、あるある!というもの(笑)。

(飲みすぎて、酔っ払って友達に迷惑をかけた、、とかもありましたっけ)

 

「大人になるってどういうことだろう?」

よく社会人として、とか、責任をもってとか、色々な言葉で表現されますが、

抽象的でよくわかっていない大人も多いのではないかしら。

と思います(自分も含めて)。

 

もっと身近な具体的なコトで「大人になる」ってことを考えてみると、

毎日の生活で、自分の行動に活かせるかもしれません。

 

・ (親に起こされなくても)ひとりで起きる

・ 時間の約束は守る

・ 友達や家族のことも考えてうごく

・ 自分から挨拶をする

・ なにかをしてもらったら「ありがとう」という

とか。あと、

・ 飲みすぎたら、次の日奥さんに謝る とか、

・ おいしいお菓子は独り占めしない とか(笑)

 

結局は、その基本は家での日々の生活の積み重ねかな、

そんなことを改めておもったのでした。

 

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写真は、大人子どもなおかし、なつかしの「ココアシガレット」。

側面にこんな企業メッセージがあったとは!

禁煙のためにこれをくわえた父さんがいたら、「大人になったなぁ〜」と思うかも。