事例

旗竿敷地の家

 かつて、外国人は、あちこちの道で子どもたちが遊ぶ様子を見て、
「街はほぼ完全に子どもたちのものだ」と驚き、
日本の街を「こどもの楽園」と表現したそうです。

 残念ながら、今の街では、道は子どもたちより車が優先され、
「道で遊ぶ」という体験はできません。
しかし、この旗竿の敷地は、子どもが自由に、安全に遊べる路地となります。
細長い路地庭は、自転車や一輪車など乗り物あそび、
キャッチボールやサッカーのパス練習、チョークでのお絵描き、
なわとび、など、子どもの遊びを、心置きなくできる「子どものもの」です。

南北に長いこの敷地の路地の先には家の庭があり、
庭のそばに縁側があり、その先に家族の居場所があります。
そして、その先には光を取り入れる中庭があります。

その中庭は光の取入れだけでなく、小さな子供の遊び場でもあり、
子どもを眺めながら家事ができるようなキッチン配置になっています。
南北の長さを活かし、ダイニング、キッチン、キッチンカウンター、
そしてママの指令塔が連続して、
この中庭と結びついています。

行ってらっしゃい、ただいま
住まいが3人のお子さんの成長を見守り、
子どもたちは家族の気配を感じながら育っていきます。

丘の園庭をもつ幼稚園

この幼稚園は3階建てで、
避難経路の計画が非常に重要な課題となりました。
2,3階の非難をどのような形で確保するか。

そこで考えたのが園庭を2階、3階まで届かせるということです。
園庭を傾斜地にして1階から3階まで連続させています。
そのことによって2階、3階も園庭に接しているという行政の判断が下り、
建設可能となりました。
この丘の園庭は広場へとつながっていき、
大きな築山のようにして子供たちは遊んでいます。

この丘の園庭の下には平面的な広さだけでなく、
高さも大きく確保され、気持ちの良いヴォリュームを持った遊戯室が納まっています。

外観は鉄筋コンクリート打ち放しの1,2階の上に木製の建具が乗るという
非常にシンプルな構成となっています。
その外観の構成も園庭に接していることの現れであるということができます。

(所属していた設計事務所時代の設計)

図書館の家

傾斜のある住宅街にある敷地は、
その高低差が生活空間としての落ち着きや安心感をつくりだしています。
また、南面に道路が面しており、
採光と日照が存分に得られることもこの敷地の強みです。
さらに既存の庭と樹木がプライバシーを守り、
夏冬の日照のコントロールをしてくれています。
現状の良いところを守り
快適性を向上させる住まいです。
この敷地のレベル差を利用して、
いくつかの床レベルを設けています。
キッチン・リビングレベル、図書館レベル、子ども基地レベル、
主寝室のある中2階レベル、子ども部屋のある2階レベルです。

畳の場所と隣接してちょっとしたくぼみが設けられています。
子どものための場所です。勉強のコーナーで勉強をしたり、
時には集中するためや、一人になりたいときの居場所になります。

また、この住宅にはいろいろな階段を設けています。
階段は、子どもの遊び場にもなります。
机・椅子になり勉強の場になる面白空間。

また自分のためのお片付けの場所も設けています。
自分の物の居場所を決めれば、小さな子どもだって
片付けられるもの。

家で学び・遊び。くつろぎ、家を楽しむ。そんな住宅です。